【コラム】かけはし基金設置の背景 ~コロナのしわ寄せはどこに向かっているのか?~

こんにちは!世田谷コミュニティ財団です。
5月28日(木)に新型コロナによる影響を受けた方々を支える新たな基金として、「かけはし基金」を設置しました。

今日はこの基金について、少し解説してみたいと思います。

■なんのための基金なのか?

かけはし基金は、新型コロナウイルスによって、社会的・経済的に影響を受けた方々を支えることを目的に立ち上げました。
中でもひとり親のご家庭、障がいを持つ方々、不安定な雇用状態にある方々など、「元々弱い立場にあり、今まさに苦しい思いをされている方々」を、コミュニティの力で支えることを目指しています。

■「元々弱い立場にある」方々により強く表れた新型コロナの影響

この投稿を読んで下さっている皆さまも、新型コロナウイルス感染症拡大と、それに伴う自粛や休業・休校によって、きっと少なからぬ影響を受けられただろうと思います。

誰もが不自由な生活にストレスを溜める中で、より強く、より大きな影響を受けたのが、上述のような「元々弱い立場にあった方々」です。

■非正規雇用者減の影響を正面から受けているシングルマザー家庭

例えば非正規雇用で働くシングルマザーのご家庭。

世田谷区内を見てみると、ひとり親家庭の約95%が女性、すなわちシングルマザーです 。
そのうち47.1%が非正規雇用(パートアルバイト、派遣、契約社員)として働いています。

 

またその約6割が、「年間の就労収入は300万円以下」と答えています。

5月末の総務省の発表によれば、非正規雇用者数は昨年度の同じ月と比べて、97万人も減少しています 。
この数は、比較可能な統計が存在する2014年以来、最悪の数字です。

特に減少、すなわち解雇や雇止めが多かったのは、飲食や宿泊業でした。
自粛要請によって、飲食店などが非正規雇用のスタッフを減らしたことで、職を失うケースが続出しています。

こうしたしわ寄せを、正面から受けているのが、非正規雇用の母親が家計を支える、シングルマザーのご家庭です。

 

■学校休業は、余裕がない家庭ほどダメージが大きい

それだけではありません。
3か月以上に亘る学校の休業は、こうした家庭により大きな影響をもたらしています。

世田谷区内の小中学校が「休校」となったのは3月2日。
それ以来、長い長い、休校・ないしごくわずかな登校日のみを設けた休校状態が続いています。

その間、子どもを持つ保護者は、“学校の先生の代わりに”家庭学習を担う形になりました。
特に5月7日、すなわちゴールデンウイーク以降は、学校のカリキュラムの一部を、家庭学習で補う日々が続いています。

子どもの家庭学習に付き添おうとすれば、その間、親が仕事することは難しい。
しかし業務や出勤を優先すれば、子どもの学びを二の次にすることになります。

こうした状況は、夫婦ともに健康な共働き家庭にとっても、大きな試練を意味します。
働くひとり親世帯にとっては、なおさら、です。

 

■オンライン教育は経済格差を如実に反映している

少しずつ普及してきたオンラインによる学習コンテンツも、世帯年収が高いほど、その利用率が高く、低いほど利用できる環境にないことが、既に明らかになっています。

機材の問題。通信費の問題。そして何より「慣れないオンライン学習を横でサポートできる環境」がなければ、子ども、特に低学年の子どもの学びはなかなか現実的ではないからです。

このように、余裕がない家庭ほど、子どもの学びに対するダメージが大きいのが現実です。

つまり、新型コロナのしわ寄せは、この街の大切な宝物である子どもたちに、押し寄せているのです。

 

■かけはし基金が目指すこと

かけはし基金は、こうした「コミュニティの中で、弱い立場にある方々が被っているつらさ、しんどさを、コミュニティの力で解決すること」を目指しています。

この投稿では、非正規雇用で働くシングルマザーとその子どもたちを巡る課題にフォーカスしましたが、これ以外にもまだまだ、私たちの街には見えない課題が存在しています。

こうした課題を、地域に根差すコミュニティ財団として、寄付者の皆さんと共に一つずつ解決していく、そのための機会になればと考え作った基金です。

私たちの街に暮らす、より困難な状況にある方々を支えるアクションに、あなたも参加してみませんか?

 

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