2017年12月15日、19~21時、二子玉川カタリストBAにて、
「越境ナイト:世田谷×川崎 ~一年の終わりに、多摩川を眺めながら、”コミュニティの未来を創り出す方法“を考えよう~」を開催しました。
参加者は最終的に106名に達し、大盛況の会となりました。

 

 

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…》「越境ナイト:世田谷×川崎」開催レポート

 

オープニング

開催にあたり、主催者の世田谷コミュニティ財団設立準備会・水谷衣里さん、かわさき市民しきん・廣岡希美さんから開催の挨拶がありました。

世田谷コミュニティ財団設立準備会、水谷さんからは、「12月は寄付月間。“欲しい未来に寄付を贈ろう”というしいムーブメントが始まっています。

今日のイベントでは、寄付を通じて自分だけでなく周りも幸せにする、そんな地域社会をどうつくっていくか、考えることを目的に開催しました。」と本会の趣旨が述べられました。

かわさき市民しきん、廣岡さんからは、「多摩川を挟んで、世田谷と川崎がつながり、民間発でコミュニティの未来をつくっていく。そんな取り組みを広げていくきっかけにしていきたいです」とご挨拶がありました。

 

第1部 パネルトーク

第1部では登壇者5名が参加するパネルトークを行いました。

<まちの未来を語るパネルトーク>

パネラー:

  • 水谷衣里さん 〈世田谷コミュニティ財団設立準備会〉
  • 廣岡希美さん 〈一般財団法人 かわさき市民しきん〉
  • 保坂展人さん 〈世田谷区長〉
  • 福田紀彦さん 〈川崎市長〉
  • 東浦亮典さん 〈東急電鉄〉

コーディネーター:

  • 土肥真人さん〈エコロジカルデモクラシー財団 代表理事〉

 

パネルトーク、冒頭では、コーディネーターである土肥真人さんから、「越境ナイト」パネルトークの趣旨について解説がありました。お話の中では、

  • 世田谷と川崎という、多摩川をはさんだ2つの都市で、コミュニティ財団をつくる、という果敢な取り組みが始まっていること
  • 12月は寄付月間、人々が支えあう社会をどうつくるのか。そのためにどんなインフラが必要なのか
  • 市民がお金と知恵と時間を出し合って作る新しい仕組みの可能性や価値
  • 多摩川をはさんだ2つの地域で、お互いがお互いに学びながら、どんな未来を描いていけるのか

について、今日、この場で深めていこう、という提案がありました。

パネルトーク、最初は3人からの話題提供です。

トップバッターは、かわさき市民しきんの取り組みについて、廣岡さんからプレゼンがありました。

 

(廣岡さん)

――かわさき市民しきんの「しきん」には、資金・志金・支金の3つの意味があります。私たちは、「お金の地産地消」をめざし、寄付が地域に活かされていることを実感できるような社会にしたいと考えています。

現在は主に4つの活動をしています。
一つ目は、事業支援しきん「あとおし」。これは事業を選定して団体と一緒に寄付を集めるものです。これまでに在日コリアン支援、障害者支援など4グループを支援してきました。

二つ目は、意思実現しきん「いしずえ」。寄付をいただきその寄付に思いを託すものです。これまでにこども食堂をテーマにした1グループに助成しました。

三つ目は、共感共鳴しきん「えんたく」。まだ実験的なものではありますが、市民の力で新しいプロジェクトを生み出すものです。昨年は川崎を盛り上げ地元を感じてもらおうというオープンミーティングを行いました。

四つ目は「プロボノチャレンジ」です。今後は、こども食堂の調査とフォーラムの開催、活動の育成など、テーマを絞った基金の設立を目指しています。

 

次に、世田谷コミュニティ財団設立準備会の取り組みについて、発起人の水谷さんからプレゼンがありました。

 

(水谷さん)

――民設民営でコミュニティ財団をつくろうと、4円前から準備を始め、この半年間は「準備会」として活動を続けてきました。

世田谷コミュニティ財団は、東京らしいダイナミクスさを持ちながら、生活の場である世田谷らしい、リアリティある取り組みを進めていきたいと考えています。

特に、まちの課題を自分事として捉える人を増やしていくこと、これにはこだわりたいと思っています。

まだ「準備会」ではありますが、4年前から公益信託世田谷まちづくりファンドの“キラ星応援コミュニティ部門”の取組みを通じて“伴走支援”による助成先のサポートにもチャレンジしています。これは、社会人がプロボノとして団体を支援するところに特徴があり、プロボノによるコミュニティも育ちつつあります。

財団設立後も、課題解決にチャレンジしていく人たち、そして課題解決を支える人たちをバックアップしていきたいと考えています。特にプロボノの力を生かすこと、民から民へのお金の流れを作ることに力を入れると共に、組織としての体制整備や社会的潮流へのキャッチアップにも取り組みます。

2030年には、善意の資金循環10兆円時代が来ると言われています。私たちは、世田谷で、2030年には30億円規模のコミュニティ財団をつくりたいと考えています。世田谷90万人の力をつなぎ合わせながら、課題に困っている人、解決に取り組む人を応援する生態系をつくっていきたいです。

 

3番目に、東急電鉄の東浦亮典さんより話題提供がありました。

 

(東浦さん)

――今日は世田谷×川崎の越境企画ということですので、このエリアで自分が感じてきたこと、そして世界で見てきたことを、“越境リアリスト”として皆さんにお伝えしたいと思います。

川は昔から文明の繁栄と共にありました。二子玉川は世田谷の“玉川”と、川崎の“二子”という2つの地名が合わさって命名されたものです。

まちづくりの先進地・ポートランドには川を挟んで多くの橋があり、自由に行き来ができるようになっています。しかし二子玉川は橋が少ない上、歩道が狭く、越境しにくい。3年前に世田谷と川崎は包括協定を結びました。お互いにお金を出し合って、人と自転車のためのデザイン性の高い友好の橋をかけてはどうでしょうか。

ふるさと納税が都市部では頭の痛い話題になっています。流出額は、世田谷が31億円で全国3位、川崎が24億円で全国6位。こうしたお金をもっと目に見えるものや市民の活動に振り向けられないでしょうか。

地域コミュニティの課題は、老朽化・高齢化・少子化と言われています。一般住民は担い手・ノウハウの問題が、行政は現行法の制約・財政問題が、民間企業は経済・時間の問題がそれぞれにあり、コミュニティをよくしようと思っても三すくみ状態にあります。だからこそ、コミュニティ財団のような存在が必要となるのです。

そして、これからはビジネス的な発想で市民力を生かしていくべき時代です。「善人」の領域だけで活動していては小さくまとまってしまいます。そこで、越境というキーワードが必要なのです。

良いことをしたい良い人だけが集まって、好きなことをするのではなく、「悪人」、といっても「悪い人」ではなくて、普通に暮らすビジネスマンなど、あまり街とは関係ないな、と思っていた人を少しでも「善人」の側の活動に興味をもってもらうこと、そして「ぜひ応援したいな」と感じる人を増やすことが重要だと考えます。

 

続けて、3者のプレゼンを受けてのパネルトーク。

最初に川崎市長の福田紀彦さんから世田谷コミュニティ財団設立準備会へ、次に世田谷区長の保坂展人さんからかわさき市民しきんへコメントをいただきました

 

(福田さん)

――“善意の資金循環10兆円”と言われると、規模がかなり大きいことから自分にとってはまだ現実味が薄いですが、世田谷コミュニティ財団30億円ならできるかもしれない、夢物語ではないように思えました。

いいことをやろうとしても資金が必要です。寄付の裾野を広げるには高い目標が不可欠です。テントを張るのだって、上が高くなければすそ野は広がりませんし、小さくまとまっていては面白くありません。意欲的な目標を掲げることはとても良いと思いました。

 

(保坂さん)

――30億円と聞いて、ふるさと納税を連想しました。

世田谷では、今年の流出額が31億円、来年は40億円を超えると予想しています。非常に困ったことです。

一方、ふるさとの納税の本来の趣旨は寄付であり、可能性もあると感じています。例えば、児童養護施設の退所者向けの給付型奨学金への寄付は、ふるさと納税の対象にもした結果、4400万円も集まりました。区外からも多く、寄付文化という意味でも社会が変わる兆しがあるように思います。川崎のコミュニティ財団は、市民の活動につなぐという意味で可能性があるように感じました。

 

お二人からのコメントを踏まえて、パネルトークは進行します。

 

(水谷さん)

 ――世田谷にはポテンシャルがあると感じています。

児童養護施設の退所者向けの基金に寄付する人たちがいる。応援する人たちがいる。そのことに、私は励まされました。

2017年度の寄付白書によると、日本の寄付市場は個人7400億円、企業7900億円ぐらいと言います。日本の経済規模やGDPから比べれば、まだまだごくわずかで、ブルーオーシャンとも言えます。

2030年には高齢化が進み、生産人口が減っていきます。次世代のために自分の資産を使ってほしいという高齢者も現れるかもしれません。働き方が変わる中で、もっと地域と繋がりたいと思う人が出てくるかもしれません。そういう変化の中で、私たちはコミュニティ財団が寄付者にとってパートナーの一つ、選択肢の一つになるように、成長させていきたいと思います。

 

(廣岡さん)

――私たちのコミュニティ財団はまだまだ助成規模は小さいです。しかし、その中でも、団体が自分たちで寄付集めすることを一緒に応援することを大事にしています。民間の公益活動には、助成金や委託費など多様な活動資金があります。その中で、寄付の割合を高めていくには、他人に自分たちの活動をきちんと説明することが大切と考えているからです。

 

(東浦さん)

――理解者や、裾野を広げるためには、福祉的な発想に気持ちが動く人だけで行動していてはだめだと思います。今日、12月の金曜に、例えば二子玉川で忘年会をしているような人たち、飲み歩いているような人たちにも届くようにすることが大切ではないでしょうか。

恵まれない人たちを支援する、という発想だけでなく、ビジネス発想も入れていくことが必要です。また、最初の資金が入ることで、自立化していくような活動も対象にする必要があるでしょう。

多摩川の両岸の、世田谷と川崎でこのような市民発・民間発のコミュニティ財団の取組みがあることはすばらしいことです。支援する側もされる側も、連携が広がっていくともっとお金と人の資源が有効に使われていくのではないでしょうか。

 

(水谷さん)

――コミュニティ財団は、「社会課題の解決」を支えます。同時に「新しい価値の創造」も重要な役割だと思っています。持続可能性にあふれた暮らし、まちの誰もがイノベーションとサステナビリティ、人のつながりを実感できる暮ら方を提案していく。このことにも取り組んでいきたいと考えています。

 

(コーディネーター:土肥さん)

――2030年には善意の資金循環10兆円時代が来ると言われました。世田谷と川崎をひとつのかたまりとして考えると、240万人になります。この規模であれば、あたらしい仕組みを提案することも不可能ではない。世田谷と川崎が共に新しい価値を作っていく、お金に違う意味を与えていくことができるのではないでしょうか。

 

ここで休憩となりました。
ティーブレイクでは、川崎で活動する「新城テラス」から、福祉施設のはぐるま農園で採れたレモングラスを使ったお茶が提供されました。

また世田谷からは、コミュニティ財団の発起人でもある磯村歩さんが代表を務める、地域デザインブランド「フタコラボ」がプロデュースする焼き菓子ホロホロ(区内の福祉作業所であるパイ焼き窯による製造)が提供されました。

 

 

第2部 首長トーク

休憩後、再開された第2部の首長トークでは、「越境から生まれるの新しい価値」について、話が弾みました。

 

(保坂さん)

――世田谷と川崎で包括協定が結ばれたのは3年前のクリスマスイブのことでした。

最初は自然エネルギー普及のため、川崎の水素活用の取り組みを伺い、その後、多摩川の渡し船を約60年ぶりに復活させる活動で、福田市長に協力して頂きました。喜多見児童館が実施したこの企画では、渡し船で福田市長をお迎えし、船に一緒に乗って頂いて、多摩川を往復しました。その間に話がまとまり、包括協定を結ぶに至っています。また、職員交流も進めています。たとえば、これから世田谷に児童相談所を作ろうと考えていますが、現場経験を持つ職員がいません。そこで川崎の児童相談所にご協力頂き、研修する機会を提供頂いています。

 

(福田さん)

 ――今まで、川崎と世田谷の連携した取り組みといえば多摩川の花火大会ぐらいでした。しかしこの3年間で、一緒に取り組む機会がぐっと増えました。日常的なお付き合いが増えたことはうれしいことです。川崎は横浜との間では保育園を共同利用しています。市に住む人々は、自治体を超えて生活をしています。生活圏は市境とは関係ありません。だからこそ自治体間で協力していくことが大事です。

区民車座集会を開催した際、高津区はカタリストBAをお借りしました。その結果、世田谷の方々も参加していました。「グレーター多摩川」という感覚で物事を考えなければいけないのかもしれません。

 

(保坂さん)

――住民にとっては境界線にさほど意味はありません。多摩川はお互いに手が届く範囲にあります。両自治体の人口を合わせると240万人。これは首都圏の人口3000万のおよそ10分の1弱でもあります。そのスケールを生かした行動をしていきたいですね。

行政では包括協定を行いましたが、住民の意識はどうでしょうか。
今回のシンポジウムは、住民同士が「世田谷×川崎」を考える場を自発的につくっているわけです。協定を結んでから3年が経って、大きな進化だと感じていますし、共にアクションすることの可能性も感じます。

 

(福田さん)

――世田谷では、連携している自治体数が60に広がっていると聞きました。
隣接している自治体も大事ですが、同時に遠方の自治体との関係性をどう築いていくのかも都市の課題です。エネルギーや災害時のことなどを考えると、遠方の自治体との関係性は大切にする必要があります。

今回のような寄付というキーワードに響く人たちは、地元だけでなく全国にもいるかもしれません。新しい価値を生み出すことで、地域や都市を越えてつながり、それが寄付に繋がったり、協力関係に繋がることがあるかもしれません。

 

(保坂さん)

――世田谷の場合は区民まつりに連携先の他地域の自治体も出店頂いています。「せっかく首長たちが来ているのだから」と、2年前からは区民まつり以外にも交流を広げています。

顔と顔が見えるといろいろなことが進みます。例えば、長野県の知事と話をした際、長野としては、世田谷の子どもたちに長野に来てほしい、世田谷は自然エネルギーを広めたい、その2つの希望が一致して、長野の水力発電の電気を世田谷の保育園に引くことが実現しました。

発電元の自治体の名前はプレートに記載されており、保育園に通われている親子の皆さんがその自治体に行ってみたくなることもあるのではないでしょうか。また、お互いの顔が見えていると、災害時の協力関係の構築もスムーズです。都市と都市、都市と地方、広がりのある連携が大切だと思います。

 

ここで時間になりましたので、最後に首長から一言ずついただき、コーディネーターの土肥さんからまとめの言葉をもって会の終了となりました。

 

(福田さん)

――今日は寄付文化を広げようという志高い人たちが集まっています。しかし、東浦さんのプレゼンにもありましたが、「善人」ではない、一般の人たちをもっと対象にしていかないといけないと思います。

日本の寄付市場の中で、政治や宗教に関連したものの割合は高いでしょう。私も政治家として寄付を集めることがありますが、寄付は、一人ひとり訪ねていく、とても泥臭い行動を伴うものです。ふわっと「良いこと」なだけでは集まりません。
志があって、声をかけて、自分たちの範疇の外の人たちにも手を伸ばしていくことがあって初めて、裾野が広がるのではないでしょうか。

寄付月間のキャッチフレーズにもありますが、「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」という世界観がこれからもっと、広がっていくことを願っています。

 

(保坂さん)

――他地域では、近隣の都市をライバル視することが多いのですが、川崎市とは福田市長のお人柄もあって、多摩川が「隔ての川」から「結びの川」になっています。

昔は世田谷・川崎とも環境汚染がひどかったが、今では空もきれいになり、多摩川には鮎も泳ぐようになりました。この環境を変える力になったのが、このままではまずいという1980年代の住民の運動でした。世田谷にも川崎にも、そういう地力がある。
多摩川を挟んで知恵を合わせてみると何が生まれるのか、240万人の住民で何かやり始めたらおもしろいとは思いませんか?協定3年目を経て、協定の原点に返って住民との協働を実感しました。大いにやりましょう!

 

(コーディネーター:土肥さん)

――ありがとうございました。 今日は越境ナイトということでしたが、区長・市長のお話を聞いて、越境の意味を改めて深めることが出来ました。自治体の境目を超える、行政と企業、市民が境目を超えて交流する、立場や肩書を超えて交流する、そんなことも魅力や可能性を感じることが出来る場になったのではないかと思います。

私たちコミュニティ財団は、社会の現状に対して、おかしいと思っていることやそれに対する民間からの自発的なエネルギーを、立場を超えて、ひとり一人が担っていく、それをささえる仕組みです。そんな新しい取り組みこそが、新しい社会への越境につながります。
今日が新しい価値や社会をつくっていく新しい始まりになるでしょう。その最初の一歩を踏み出した場に両首長に同席頂いたことを、喜びたいと思います。

 

世田谷コミュニティ財団の発足に向けて

12月。暮れてゆく年の瀬だからこそ、コミュニティの未来をしっかり考えたい。

創り出したい未来のために、寄付という参加の方法をもっと広げたい。

越境ナイトは、そんな気持ちを込めて開催しました。

世田谷と川崎。多摩川をはさんだ二つのまちは、240万の人口を抱え、「民間発でコミュニティ財団をつくる」という、勇敢で新しいチャレンジを始めています。

あなたの街の未来に、あなた自身が参加するために。あなたの街へのオーナーシップを、あなた自身が担うために。ぜひ寄付やプロボノなど、様々な形で私たちの取り組みにご参加いただければ幸いです。

皆さまご参加ありがとうございました!

 

設立寄付に関する詳細は、準備会ウェブサイトをご覧ください。
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【ご寄付の振り込み先】

昭和信用金庫 経堂支店普通口座 1141024
世田谷コミュニティ財団設立準備会 代表 市川徹

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